ぱんだtime

バレンタインデーキッス♪

この時期になるとついついこの歌を口ずさんでしまう。

今、アリスはユリウスの部屋に向かっている。
理由はただひとつチョコを渡しに行くためだ。


ユリウス！たまには糖分も必要だと思って。
…何か違う。
ねぇ今日、何の日か知ってる？
…これも違う。

「…ス、アリス！」
「え？」
「『え？』じゃないだろう。何をぶつぶつ言っているんだ？」

どうやらいつの間にかユリウスの部屋に来てしまっていたようだ。

「えっと…」
「…？なんだ？」

「はい。バレンタインのチョコ良かったら食べて」

「私の他には誰かあげたのか？」

「えぇ。グレイにナイトメアにブラッドにエリオットにボリスに…他にもお世話になっている人達に…あっ」

ありがとうのひとつも無しに急にそんなことを聞いてくるのだからつい正直に答えてしまった。
よく考えるとヤキモチやきな私の恋人はそんなことを聞くと拗ねるとわかっているのに。

「それでそいつらに渡すチョコレートは今持っているのか？」
「ええっと…」

「どうなんだ？」

どうして私がこんなに責められている気持ちにならなきゃいけないのか。
とりあえず恋人の機嫌をこれ以上悪くしないために持っているチョコを隠そうと思いさりげなく私の後ろに隠したつもりだったがすぐに見つかってしまった。

「これだな」
「あ…」
「没収だ」
お世話になっている人に配るだけなのに取り上げられるのは納得がいかない。
しかし強く言っても絶対に返してくれそうにはない。


「ユリウス？返して欲しいんだけど…」

「ダメだ！！」
「なんでよ！？」

「お前の手づくりを他のやつに食わせる気はない」

「バッ！！」

甘い甘い時間は始まったばかり。